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第2回 パーソナルヘルス・シンポジウム「ウェルネスと予防のイノベーションに向けて」(1日目)
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筑波大学と日本医療政策機構は2007年から2回にわたり「パーソナルヘルス」「健康投資社会の実現」などをテーマにシンポジウムを開催してきた。2009年は国際NPOであるコンティニュア・ヘルス・アライアンスとも共同で、「ウェルネスと予防のイノベーションに向けて」をテーマに掲げて開催、国内外からも多数の方々が参加した。シンポジウムは、2月3日、4日の2日間にわたって国連大学(東京・青山)行われ、最後まで活発な講演とディスカッションが展開された。

1日目
■開会の辞
b0144534_1743416.jpgチャールズ・パーカー(コンティニュア・ヘルス・アライアンス エグゼクティブ・ディレクター)
私どものアライアンスは、各個人の健康管理をどう促していくのか。ぜひ、適切なサポートを提供していきたいと思っている。




b0144534_1744250.jpg田中敏
(筑波大学 理事・副学長)
日本では少子高齢化社会となり、ウェルネスイノベーションの重要性は、今や明らか。生活と健康、地域社会と健康など、さまざまな側面から個人の健康を考える時がきたと感じる。



■基調講演:
我が国における医療の課題と医療政策の展望

b0144534_1744864.jpg渡辺孝男
(厚生労働副大臣)
「個人の健康情報を活用した健康サービスの提供に取り組む」
厚生労働省では、医療関係機関の情報化、遠隔医療、レセプトオンライン化、個人の健康情報の活用、社会保障番号・カードの導入などに取り組んでいる。実現すれば、患者や医療機関等に役立つコミュニケーション、医療保険事務コスト削減、国民自らの健康管理が可能になると期待する。


■基調講演:
最新テクノロジーとサービスサイエンスの融合に基づくウェルネスイノベーション

b0144534_1745465.jpg久野譜也
(筑波大学大学院 人間総合科学研究科 准教授)
「ニーズに合った最新テクノロジーの開発が重要課題」
予防医療の成果を出す条件は、①科学的根拠、②評価にもとづく個別プログラム、③継続支援のコンテンツとコミュニティー化、④専門職の高度化と見合った賃金、⑤サービス提供側(自治体など)の低負担。条件をそろえるには、サービスサイエンスに基づくネットワーク化、情報データ共有化が必須だ。


■パネル討論:
パーソナル・テレヘルスが切り開く新しい世界

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司会
板生清
(東京理科大学 総合科学技術経営研究科 教授、東京大学名誉教授)

パネリスト (*発言順)
・ジョージ・マクギニス
Assistive Technology Programme Lead NHS Connecting for Health)
サービスプロバイダーの取り組み
「予防医療に必要なのは、大衆向けの低コストですむ活用範囲の広いサービス」

・ジュリアン・ゴールドマン
(Director of the Program on Interoperability at CIMIT Partners Healthcare)
「電子的デバイスを使いConnected Health Programにより治療を支援」

・江頭昌剛
(株式会社エー・アンド・デイ 取締役常務執行役員 営業本部副本部長)
「家庭と病院をつなぐ鍵は、生体信号のモニタリングと健康データの蓄積」

・本田郁雄
(パナソニック四国エレクトロニクス株式会社 ヘルスケアマーケティング本部 本部長)
「計測、相談から検査、診断、治療、各段階で必要な医療機器を提供」

・宗像義恵
(インテル株式会社 アシスタント・ゼネラルマネージャー)
「ITテクノロジーで人々と情報をつなぐことにより効果的なヘルスケア環境を創出」

【概要】
イギリスやアメリカでは、すでに監視や警告、モニタリングなどのデバイスが幅広く活用され、高い効果をあげている。今後の主要課題として、各種デバイスと医療機器・システムとの相互運用が挙げられた。一方、日本でのテレ・ヘルスは、まだ緒についたばかり。しかし、各企業が暗中模索しながらも、意欲的に技術開発に臨む姿勢が感じられた。


■基調講演:
地域づくりと環境・健康施策における地方自治体の挑戦

b0144534_17142376.jpg中貝宗治
(兵庫県 豊岡市長)
「目標は、『コウノトリが、また野生で暮らせる豊かな環境をつくろう』」
豊岡市が取り組んでいる健康施策には、主に3つある。まず健康づくりの拠点となる「総合健康ゾーン」づくり。次に運動習慣を幼児期からつける「運動遊び」の展開。50ある幼稚園・保育園すべてで実施中だ。最後は食の健康をテーマにした農作物からの農薬の排除だ。


■パネル討論:
地域健康づくりが可能とする持続的な健康・医療システム

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司会
久野譜也

パネリスト (*発言順)
・久住時男
(新潟県 見附市長)
「高齢者がいろいろな活動に参加できる仕組みづくりに焦点を当てる」

・中貝宗治
(兵庫県 豊岡市長)
「狭義の健康と広義の健康の両方をにらんだ施策が自治体には大切」

・天野恵子
(千葉県衛生研究所 所長)
「健康コーディネーター事業で、身体的な自己管理の視点をアピール」

【概要】
自治体の中には地域住民の健康を守るために具体策を講じて地道な実績を積み上げつつあるところがある。しかし、各パネリストから共通して口にされた大きな課題は、住民の健康への関心の低さ、いくら施策をつくっても住民の行動につながらないという点だった。状況打破には、住民へのエビデンスのアピール、健康は自己責任だとの認識づくり、さらに自治体トップの地域医療に対するより深い理解と勉強が必要だとの意見が出た。

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by hpij | 2009-04-28 18:34 | 医療政策関連
第2回 パーソナルヘルス・シンポジウム「ウェルネスと予防のイノベーションに向けて」(2日目)
2日目

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■開会の辞

b0144534_15145544.jpg石川真澄
(コンティニュア・ヘルス・アライアンス日本地域委員会 代表)
自治体、企業など、さまざまな分野から参加していただきうれしい限りである。幅広い議論を進め、日本でのパーソナルヘルス推進の一助になれば幸いだ。



■パネル討論:
「医療再生」に向けた遠隔医療の可能性

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司会
金子郁容
(慶應義塾大学 政策・メディア研究科委員長/教授)

パネリスト (*発言順)
・梶井英治
(自治医科大学、地域医療学センター センター長)
「これからの地域医療には、各都道府県をあげた支援体制が不可欠」

・村瀬澄夫
(東員病院 院長/三重大学客員教授)
「遠隔医療で、医師という医療資源の有効活用と医師の疲弊緩和を」

・内田健夫
(日本医師会 常任理事)
「へき地・離島の医療対策、医師不足の補完、地域医療格差の是正に有効」

・奈良俊哉
(総務省 情報流通行政局地域通信振興課 課長)
「ICTを活用していかに医療連携を効果的にできるかの実証を手がける」

・増永明
(経済産業省商務情報政策局サービス産業課医療・福祉機器産業室 室長)
「民にも呼びかけ、遠隔医療を支える健康サービス産業を育成する」

【概要】
IT機器の活用範囲が、まだまだ広がると思われる医療界。特に遠隔医療は、医師の偏在、医師不足などの喫緊の問題解決にもつながるとの指摘がめだった。総務省・厚労省・経済産業省の三省合同で、遠隔医療懇談会もできたという。医療現場からも「医療連携の大きなツール」、「医療施設・サービス提供者間の情報共有に有効」などの発言があり、高い期待がうかがえた。


■パネル討論:
「少子高齢化・人口減社会」を克服するためのパーソナルヘルスの将来像

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司会
山田信博
(筑波大学 理事/附属病院長)

パネリスト (*発言順)
・國定勇人
(新潟県三条市長)
「健康運動教室の開催など運動推進で、医療費の抑制効果を生み出す」

・小澤正彦
(株式会社損保ジャパン・ヘルスケアサービス 代表取締役社長)
「社会保障について、国民に理解を促す教育と国民が参加できる体制を」

・一條宏
(株式会社バイタルネット 執行役員)
「薬局にウェルネスのステーション機能を持たせる事業化に挑戦」

・大下博司
(オムロンヘルスケア株式会社 取締役兼執行役員副社長)
「測定をすることは、運動行為の継続への動機づけになる」

・古川俊治
(自由民主党 参議院議員/慶應義塾大学法科大学院法務研究科・医学部外科教授/弁護士)
「パーソナルヘルスを推進していくためには、エビデンスの積み重ねが必要」

・足立信也
(民主党 参議院議員/医師)
「高齢化社会で有効な保健師が活躍できるためにも医療保険を地域単位で再編すべき」

【概要】
パーソナルヘルスの推進は、国だけでは難しく、地方自治体が加わり、さらには民間企業が参加し、ともに協力し合って、国民と向き合ってこそできるものであると実感するパネル討論だった。特定保健指導事業を継続してエビデンスをつくり、国民と情報を共有化して、国民の健康管理、特に生活習慣病対策への動機づけを形成していかねばならないというのが、パネリストの共通認識であった。


■コンティニュア対応機器・サービスのプロトタイプによるデモンストレーション
デモにより、測定からデータ管理までノーストレスでできることがわかった。コンティニュア対応機器は、どの会社の製品、ソフトも自由に組み合わせて使えるので、自身での健康管理がより身近に行えるだろう。


■基調講演:
健康・医療に関する産業界の期待

b0144534_15261794.jpg北城恪太郎
(日本アイ・ビー・エム株式会社 最高顧問)
「医療に関する、新しいサービス/産業の創造による日本経済の発展と世界への貢献」

少子・高齢化が進む日本は、世界に先駆けて、高齢化社会に必要なサービスや産業を創り出すようなイノベーションが求められる。そのためには、既存の企業の創意工夫とともに、ベンチャー企業を支援・育成し、活用していくことも必要だ。また、イノベーションを担う人材の健康を確保するためにも、治療から予防にシフトして、社員が意欲とやりがいを持って仕事に取り組めるようにすることが重要だ。


■基調講演:
先進予防型健康社会の方向性

b0144534_15264071.jpg近藤正晃ジェームス
(日本医療政策機構 副代表理事)
「今後、必要になる予防への取り組みの主な4つの領域」
先進予防型健康社会として、今後、①費用対効果が高い予防法の速やかな導入、②QOL向上のための施策(たばこ対策、食生活の改善、運動不足の解消など)、③インフルエンザ、医師不足、小児救急など社会緊急課題への対処、④医療関連の産業・雇用創出の4つに着手すべきと考える。


■パネル討論:
先進予防型健康社会における企業の役割

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司会
近藤正晃ジェームス

パネリスト
・松尾嘉朗
(大塚ホールディング株式会社 常務取締役・健康保険組合理事長)
「社員に健康プログラムを導入し、健康に対する医師改革を図る」

・片切寛
(アクセンチュア健康保険組合 顧問/株式会社バリューHR取締役 経営管理部長) 
「健診の結果等を管理するシステムをインターネットで社員に提供」

・川口毅
(全日本労働福祉協会 常務理事/人間総合科学大学 大学院教授)
「健保連には、医療費の情報を活かし治療の評価システムを考えてほしい」

【概要】 
企業がどこまで社員の健康に踏み込むかは、常に議論になるところだ。しかし、従業員の健康管理は事業主の責任であるとの前提を崩してはならないこと、また健保連もそれを認識して厳しい状況に対している様子が、パネリストの発言から感じられた。やはり、ポイントになるのは従業員の自身の健康に対する意識の低さで、ヘルスプロモーションの必要性についての提言もあった。


■閉会の辞
久野譜也
最近科学的に生涯発達し続けられることが証明された。この生涯発達を可能とするためには本人の意欲に加えて、それを可能とする環境整備がポイントである。まさしくウェルネスイノベーションの役割がここにある。


■総括
ウェルネスと予防について日本の取り組みは、まだまだこれから。これから国、地方自治体、民間企業の努力が期待されるところだ。しかし、2日間のシンポジウムで明らかになった最大の壁。それは、国民の健康に対する意識の低さ、自己の健康管理への無関心だ。国民の参加がなければ、ウェルネスと予防の効果は見えない。そうなれば、国民の健康状態は悪くなり、医療費削減効果にもつながらず、産業の活性化も起きない。まずは、国民の意識改革を図り、活動を継続させる必要がある。その動機づけと継続には、IT技術が大きく貢献するであろう。


■開催日:2009/2/3, 4
■場所:国連大学 ウ・タント国際会議場(東京都港区)
■主催:コンティニュア・ヘルス・アライアンス・筑波大学・日本医療政策機構
■協力:インテル株式会社、大塚製薬株式会社、オムロンヘルスケア株式会社、株式会社損保ジャパン、株式会社つくばウエルネスリサーチ、(50音順)
■後援:総務省
(登壇者名・写真:発表順、敬称略 写真撮影:工藤哲)
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by hpij | 2009-04-28 18:00 | 医療政策関連