【緊急提言】第5回「教育と医療は国家の品格」
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「医療政策―新政権への緊急提言」第5回目は、
テルモ株式会社代表取締役会長である和地孝氏の登場です。
インタビューは、下記のような共通の質問項目に沿って行われています。

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<質問項目>
1.医療政策における重要課題、政党がマニフェストに盛り込むべきと考える課題は?
2.課題解決を実現するための財源確保の方法は?
3.課題解決のため、行っている、あるいは行おうとしているアクションはありますか?
4.民間非営利のシンクタンクである日本医療政策機構への期待やアドバイスを。
5.我が国の医療政策に必要な、もっとも重要なキーワードなどを「ひとこと」で示してください。




1.医療政策における重要課題、政党がマニフェストに盛り込むべきと考える課題は?

医療と教育は国家の品格。哲学をもって臨め。

まずはじめに、今日私がお話しするのは「新政権への緊急提言」という政治や政策、ましてやマニフェストといった話ではなく、医療全体をどう高めるかというもっと大きな見地にたった話であることをご理解いただきたい。

教育と医療は、国民の公共財であり、国の根幹を左右するものであると同時に、ひとたび崩壊となれば立て直しには確実に10年単位の時間を要するだろう。つまり両者における課題は、他に関する課題とはまったく性質の異なるものと考えるべきで、「財源の確保ができないからやらない」、あるいは「資金的な問題で課題解決への着手を先送りにせざるをえない」などという姿勢で臨むなどあってはならない。人の幸福に影響する教育や医療に対しては、哲学を持って臨まなければならないのである。

残念ながら我が国は今、品格を保てるか否かの淵に立っているのではないだろうか。「ヒポクラテスの誓い」を必読しろとまでは申し上げないが、医療政策にたずさわる諸氏には、ぜひ医療にまつわる哲学への造詣と認識を深めてもらいたいと思う。

「高齢者=病人」ではない

日本の医療にまつわる問題のひとつは、たとえば「高齢者=病人」との認識。その認識がベースとなり、「高齢化が進む」、「病人が増える」、「お金がかかる」――「だから、医療費が増える」との論法ができあがっている。こうした論理展開に疑問を発する声が少ないのには正直、驚きを隠せない。私は、「高齢者=病人」には大いに疑問を感じているし、政策担当者と医療の現場に身を置く方々には、発想の転換を呼びかけたい気持ちだ。

たぶん日本は、世界的に見て、かなり高齢者の寝たきり比率が高いだろう。背景に「畳の文化」があるせいかもしれないが、日本では、老人を、病人を、すぐに寝かせてしまう。この発想転換するだけでも、先に挙げたような納得し難い論理展開から脱却できると思うのだが、いかがだろうか。すぐに「寝かせて」しまう慣習や認識が寝たきり老人を大量に輩出している。言葉は悪いが、重篤患者の大量生産が行われているとも言える。

スウェーデンなどでは、寝たきりの患者を増やさないよう患者は極力ベッドから出るような手が打たれており、そのために車椅子が重用されていると聞く。日本は、高齢者の扱いについて、まだまだ他国に見習うべき点が多いと感じる。

ちなみに、最近は、「医療はコストと考えるべきではない。むしろ産業として発展させる視点が必要だ」との意見が、国会議員の中からも出始めている。これもまさに発想の転換だろう。医療に関して多くの「発想の転換」から始まる議論に期待したい。

予算配分を大枠から議論する

医療費を各論として語る前に、国家予算の大枠の中で医療費、社会保障費の配分がいかにあるべきかという議論が必要だ。「医療予算はこれしか出せない」「将来的にはこれだけ削っていかねばならぬ」との論がどちらも既定路線かのように受け止められているが、社会保障全体への大きな配分に対する議論なくして、各論としての医療費だけが決まっているような現状には大いに疑問を感じる。

先進国の「社会保障費+公共事業費」の対GDP費は、約15%とほぼ同様の数値。日本もその中に入るが、医療費だけを見ると約8%で先進国内最下位となる。この点はきちんと議論すべきだし、繰り返しになるが「国家の品格」の問題だ。 

2.課題解決を実現するための財源確保の方法は?

消費税(生活必需品へ配慮した税率アップ)

財源確保については、まずは支出の無駄をなくすのは当然。しかしそれだけでは医療の財源確保は無理。残念ながら増税から捻出する以外に方法はない。いまの財政赤字の規模からしても、その対象は消費税だろう。ただし、他の先進国同様、生活必需品への税率は抑える配慮が絶対に必要だ。生活必需品への配慮を前提にした消費税増税を議論すべきときだと思う。

ちなみに、たばこ税の増税は、喫煙者が減り、国民の健康に寄与するであろうから賛成だ。

3.このような課題を解決するため、和地さん自身が行っている、あるいは行おうとしていることはありますか?

医療機器技術開発への努力

私たち医療機器業界には、医療の質向上と医療のコスト低減への貢献、いうなれば「人に優しい医療」の実現が使命として課せられていると考えている。たとえば、心筋梗塞の治療に使われるカテーテルは、以前は足の動脈から入れていたが、腕から入れられるようにしたことで、治療における侵襲を低減すると同時に、手術費用や入院費の減少にもつながった。

日本人は、ものづくりが得意だ。工業界を広く見わたせば、世界的な要素技術を有する企業も数多い。行政、企業、大学の連携をより活発化させれば、医療機器を通じた医療、あるいは医療政策への貢献はさらに大きなものになると確信している。

先の10月24日、甘利明行政改革担当相が、規制改革会議に医療機器の臨床研究用承認制度(日本版「IDE制度」)の創設などを規制改革テーマとして提案した。臨床研究用承認制度とは、薬事法で承認される前の開発段階にある医療機器の有用性を臨床で確かめられるようにするというもの。国内の医療機器産業の機器開発支援が目的だと聞く。同承認制度の創設提案は、行政にも医療機器が医療やその政策に及ぼす影響が大きいとの認識が芽生えた証とも言え、喜ばしく思っている。

ちなみに医療機器には、大きくわけて診断機器と治療機器がある。特に後者は使用中に患者が命を落とす場合もあるという点で特にリスクが高いとされている。実は、医療機器メーカーが要素技術における連携等を専門技術会社に要請した折に、その治療機器の抱えるリスクが障壁になるケースがある。これは、日本独特の現象だ。

連携を辞退する専門技術会社には、「人の命にまつわることにかかわって、世の非難を浴びる事態は避けたい」とのメンタリティがある。あえて言うなら、欧米の「チャレンジして失敗しても評価する文化」と「人に迷惑をかけてはいけない文化」の違いなのだろう。ただ、これでは医療機器の技術開発はなかなか進まない。そろそろ国民の皆さんにはメンタリティを変え、長い目で医療機器の果たす貢献度を考えるようにしていただきたい。


4.民間非営利のシンクタンクである日本医療政策機構への期待やアドバイスを。

本質的で開かれた議論の場を

医療にまつわる問題においては、上澄みが喧伝されて本質が見すごされている事象が多すぎる。新聞には「産科や小児科の医師が不足」とは載っているが、なぜそうなっているのかが書かれていない。たとえば、若い医師が訴訟を怖れて産科や小児科を敬遠しているという基本的な事実や本質が書かれていないのである。それに関しては、いささか既存のマスコミには期待できないというのが私の感想だ。

そこで、日本医療政策機構のような中立的なシンクタンクには大いに期待している。ときには政府に対して、ときにはマスコミに対して、そして国民に対して、勇気を持って本質論を投げかける役割を果たしていただきたい。医療の議論では、本質が本音で語られる場があまりに少ない。

2008年はじめの医療政策サミット(註:日本医療政策機構主催)のときに、私は「後期高齢者医療制度」という名前は良くないよ、と指摘したはずだ。あの時に参加していた政府の方もすでにその名称を非常に気にされていた。あの時変えていれば、あれほど後期高齢者医療制度が問題になることはなかったかもしれない。そういう「言いにくいことも言う」という鋭い議論や場を提供してほしいと切に願う。本質の議論を提供しなければ、日本は劣化する。

5.我が国の医療政策に必要な、もっとも重要なキーワードなどを「ひとこと」で示してください。
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教育と医療は国家の品格

国が衰え、経済的に、政治的に二流、三流国になり下がることを望む国民はいないだろう。それぞれにおいて一流の国であるための努力はあってしかるべきだが、同時に、国家の品格についての思考も止めてほしくはない。

日本はすごく良い国だ。私は57カ国回っているが、日本が一番だ。国境を他国と接していない、水道水をそのまま飲める、川の水が澄んでいる等の環境の中で培われた高度の精神文化と美意識がある。こんなに良い国だが、日本人が劣化しているように思う。これを支えるのが、教育と医療だ。

冒頭で述べたように、教育と医療は他の問題とは質を異にし、国家の品格を問われる課題である。そこには哲学が求められるのだ。


■略歴
和地 孝
テルモ株式会社代表取締役会長

1935年生まれ。1959年横浜国立大学経済学部卒業後、同年株式会社富士銀行入行。1988年取締役業務企画部長となる。1989年テルモ株式会社入社、常務取締役、専務取締役を経て、1994年代表取締役副社長、1995年代表取締役社長に就任。2004年より現職。公職として、社団法人日本経済団体連合会常任理事、日本医療機器産業連合会会長なども務める。2004年度ミッション経営大賞(ミッション経営研究会)、同年度財界経営者賞(財界研究所)を受賞、2008年秋 旭日中綬章。著書に『人を大切にして人を動かす』(2004年 東洋経済新報社)、『人の心を動かす人になれ』(2006年 三笠書房)。
1990年代はじめに経営危機に陥ったテルモを、「人はコストではなく資産である」との経営哲学の下、「人を軸とした経営」を実践し、今日の姿に建て直した。

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「緊急提言」シリーズはあらゆる分野の方々に幅広いご意見を伺うこととしております。当シリーズでインタビューにお答え頂いた方のご意見は、必ずしも当機構の見解を代表するものではございません。
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# by hpij | 2008-12-03 17:01 | 新政権への緊急提言
第2回メディアワークショップ「がん対策の格差と好事例」
                    印刷用のPDFはこちら(日本医療政策機構ウェブサイト)

2.「がん対策の格差と好事例 ~地方発全国行きの最新情報~」
b0144534_1735582.jpg日本医療政策機構がん政策情報センター長
埴岡 健一


重要な臓器別や疾病別のデータ分析

本日は、①がんの格差②がん対策の好事例③地域を動かすアドボケートたち――の3つについてお話しします。

がんの格差については、着目点がさまざまあります。罹患率格差、死亡率格差、治療方法格差もあれば、治療成績格差もある。がんを減らすのに有効であると言われるがん検診についても検診率格差があり、肺がんの大きな原因の1つであるたばこに関しても、喫煙率格差があります。

また、格差を比べる際には、都道府県単位がよく使われますが、もう少し細かい区切りである2次医療圏や市町村での単位で見るなど、いろいろな視点から比べることができます。病院ごとにも治療成績などの格差があります。現在、がん拠点病院を軸にした各医療施設の連携でがん治療をカバーすることが、がん対策の大きな柱になっていますが、拠点病院とそうでない病院の治療成績には大きな格差があるようです。また、医師数、対策費等の医療資源についても地域によって格差がある。がんを減らすための対策に関しても、有効な政策を連発している地域もあれば、何もしていないかのように見える地域もあり、かなりの格差があるのです。
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では実際に、まず都道府県別がん死亡率(男性)を比較してみましょう(上図)。もっとも死亡率の高い青森県ともっとも低い長野県の間には1.5倍ほどの開きがあります。現在の全国的な目標は、死亡率を全体で20ポイント減らすことですが、多くの県にとって長野県程度のレベルに達することであり、決して実現不可能なことではないはずです。

今度は女性の死亡率を都道府県別に比べてデータを見ましょう。男性の死亡率を示したグラフの形とは少々違っていますが、県の間で大きな格差があるのは同じです。総合的ながん対策を打つのは必要ですが、地域別に多いがんに着目して男女別にがん対策を推進していくことが大切です。

過去10年間でどれほどがん死亡率を低減できたかの都道府県別データもあります。それによると男性に関して、広島県は26%、青森県は12%の減少です。広島県はあと10年このペースがつづけばがん計画の目標値を軽くクリアしますが、後者は10年を経てもこれまでのペースでは目標に達しません。女性のがん死亡率に関する同様のデータでは、群馬県の減少率は過去10年で-3%、つまりむしろ増えてしまっており憂慮される事態です。

がんを減少させるための対策を打つには、がん種別の都道府県別死亡率を知ることが大切です。肝臓がんの県別死亡率グラフをみれば西日本で多いことが一目瞭然です。東の方では山梨県が飛び抜けて多いことが分かります。がん全般では比較的死亡数が少ないためがんを特に問題視していないように見える沖縄県と宮崎県も、疾病別に見れば、実は、沖縄では男女の結腸がん白血病が全国的にもワーストに近いレベルであること、宮崎県では卵巣がんがワースト1であることなどの実態がわかってきます。このように、疾病別のデータ分析は非常に大切だと思います。

現存する地域格差を示すデータさえない

さて、地域格差について、少し詳しく説明していきます。大阪は全般的にがんの死亡率が高いと認識されていますが、大阪府内にも大きな地域格差が存在することも大きな問題なのです。また、病院格差もあります。同じ進展度合いの大腸がんに関しても病院によって5年生存率が80%程度から50%程度までとかなりの格差が認められます(下図)。
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拠点病院とそれ以外の病院の格差もあります。たとえば大腸がんの場合、大阪府の4,771の症例のうち1,000例を拠点病院で治療しておりその生存率は62.2%です。一方、大阪府全体の生存率は51.3%です。つまり、拠点病院で治療された大腸がんは全体より10.9%生存率が高いといえます。

このデータは、ほかにもさまざまな事実を教えてくれます。たとえば大腸がんの全ステージ(進行度)の症例を集めてみると約1万5,000例になりますが、うち約3,000例、すなわち約20%が拠点病院で治療されている。つまり、質の高い拠点病院を整備しても、患者さんのうち20%しかその恩恵をこうむれない。さらに分析してみると、がん治療をリードすべき拠点病院が比較的軽いがん患者を受け入れている現状も分かってきます。

本来47都道府県すべてで、このようなデータが整備され、がん治療の実態、具体的には発生率、治療成績、死亡実態などが正確に把握されたうえで対策が打たれるべきですが、現実はいまだそこに至っていません。少なくとも、現状ではデータさえも不十分であると知っておいていただきたいと思います。

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もう1つ興味深いトピックスは、医療資源の格差です。十分な経験を伴ってがんを治療できる医師数にも格差があるのです。がん薬物療法専門医数を見ても、放射線治療認定数をとっても、都道府県別によってかなりの差があます。そして、その地域に多い種類のがんをカバーする医師が、必ずしもその地域に多くいるわけではないのです(上図)。がん薬物療法専門医とは抗がん剤を扱う高いスキルを持った医師を示しますが、資格自体が新しいこともあって、いまだに人数がゼロの県もあるほどです。がん拠点病院には、最低1人、2人は確保してほしいものです。

私たちは、都道府県別、あるいは九州、近畿などのブロック別にがんを治療できる医師数をモニターし、全体的な医師不足のみならず専門医の偏在にも着目し、理想的な適正配分を示し実現の一助になっていきたいと考えています。

各県で生まれている施策の好事例

ここまでお話ししてきた格差や問題点を踏まえ、それらをいかに解消していこうとしているのかといったお話に移ります。今、問題解決のために数多くの施策が打たれようとしていますが、計画書止まりで多くは実行にまで進んでいません。しかし、わずかながらも非常に新鮮な好事例が生まれているのもまた事実であり、今回はぜひそれらを紹介したいと思います。
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最初に、都道県別のがん計画力をスコア化し、比較したものを見てください(上図)。計画力をスコア化するのは難しく定評ある方法はいまだにないと思います。これは一つの試みと考えてください。まず、全国の計画を読んで、国の計画に記載されていることを超えているような15の項目を選びました。15項目の内容は、資料のとおりです(下図)。そして、各県のがん計画に、15項目のうちいくつが含まれているかをカウントしたのが今回のスコアです。島根県がもっともスコアが高く、次いで茨城県、兵庫県、鹿児島県などがそれに続く結果となりました。
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各県の計画書を詳細に読み込んでいくと、さまざま施策の好例を拾い上げられます。たとえば、現在、国が患者さんに向けて包括的な資料を作成し、「患者必携」として提供する計画ですが、山形県では「かゆいところに手が届く」ような、地元版「患者必携」を作成する予定です。また、福島県では、県庁のウェブサイトを通してがん患者団体やがん患者支援団体の情報を県民に周知することを決めました。

個別施策とは別に、がん対策全体をカバーするような大きな施策を打っている都道府県もあります。島根県、高知県、新潟県、神奈川県ではがん対策条例が制定されています。現在は、宮城県、愛媛県、長崎県などでも制定の動きがあり、おそらく47都道府県に徐々に広がっていくものと思われます。

作られたがん計画が実際に実行されるかどうかの1つのバロメーターが、予算化されていることだと考えられますので、各県の予算化の状況を調べてみました。佐賀県では、がん予防推進委員によるがん対策の普及・啓発をボランティア中心に進めるための組織化と育成に予算をつけています。患者さんが相談を寄せる窓口創設に対しは、相談支援推進事業として秋田県、静岡県などが予算化に踏み切っています。

日本でも始まったアドボケートの活動

つづいて、患者アドボケートたち――政策提言する患者関係者が生まれているというテーマに移ります。

先ほどのお話にもありましたが、今、患者、国民の関与を受けて政府が政策をつくるといった、新しいサイクルが生まれています。がん対策基本法は、好例の1つのモデルと言えるもの。議員立法で成立した点も象徴的です。政治家の間では「これは、患者立法」、「市民立法」とも言われています。いずれにしろ、今後同じような革新的な政策立案プロセスが生まれる兆しを感じます。

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基本法を受けてつくられた国のグランドデザイン――がん対策推進基本計画には「がん患者及び患者団体等は、がん対策において担うべき役割として、医療政策決定の場に参加し、行政機関や医療従事者と協力しつつ、がん医療を変えるとの責任や自覚を持って活動していくこと」という文言があります。私たちは、いわゆるアドボカシーが政策決定の根幹に携わるように位置づけられたと捉えています。

がんに関しては、治療の在り方に制度的問題や政治的問題が絡んでいると気づき、声をあげ、制度や政策を変えるために活動しようという人々が増えています。全国には患者委員が80人ほどいると推定されます。そのうちわれわれが連絡先を把握できた53人の患者委員にアンケートしてのうち38人が回答をくださいました。その結果、患者委員は「感情的議論よりも論理的議論をしたい」、「具体的な提案や対案をともなった発言を評価する」などの考えを持っていることが明らかになりました。患者委員の皆さんが、個別利害を超えて、がん患者全体を代表して語れる存在になりつつあると強く感じました。イメージとしては、日本の衆議院選挙区すべてでがんアドボケートが存在し、その人たちを宙死因にがん対策が大きなテーマとして扱われるようなムーブメントが広がっていく姿を思い描いています(上図)。

私たち日本医療政策機構 市民医療協議会がん政策情報センターでは、ウェブサイトでの情報提供や人々の紹介をしていき、このようなアドボケートの方々を支援し、輪を広げていくよう手助けをしていきたいと考えています。

■講演者略歴■
埴岡 健一
日本医療政策機構理事
日本医療政策機構市民医療協議会協同議長
がん政策情報センター長

1984年、大阪大学文学部卒業。1987年、日経BP社(現)入社、日経ビジネス編集部記者、92年日経BPビジネスニューヨーク特派員、94年ニューヨーク支局長、98年日経ビジネス副編集長(金融、企業戦略、経営、企業ケーススタディなどを担当)と、経済・経営ジャーナリストとして記事を執筆する。99年骨髄移植推進財団(骨髄バンク)事務局長となり、医療システム改革に取り組んだ。03年7月日経メディカル記者、04年7月同編集委員(医療の質評価、がん診療などを担当)、医療ジャーナリスト。また、がん患者支援サイト「がんナビ」の編集長も務める。04年8月東京大学医療政策人材養成講座特任准教授、日本医療政策機構理事。07年4月、がん対策推進協議会委員となり、がん対策戦略策定に参加。08年5月より日本医療政策機構常勤。
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乗竹 亮治
日本医療政策機構 市民医療協議会

オクラホマ州立大学を経て慶應義塾大学総合政策学部卒業。日本医療政策機構インターンとして、シンポジウムなどの企画運営に携わった後、2007年4月から日本医療政策機構勤務。患者支援プロジェクトである「市民医療協議会」を中心メンバーのひとりとして設立。患者会向けPC寄付プロジェクトや患者リーダー向けのリーダーシップ研修などを運営する。国内患者会の国際連携支援や海外研修支援も実施している。

■関連リンク■
日本医療政策機構 市民医療協議会ウェブサイト
日本医療政策機構 がん政策情報センターウェブサイト
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# by hpij | 2008-11-27 17:40 | 市民医療協議会関連
第2回メディアワークショップ「がん対策の格差と好事例」
                    印刷用のPDFはこちら(日本医療政策機構ウェブサイト)

10月10日、日本医療政策機構は第2回メディアワークショップを開催しました。当日は主要メディア各社より30名のジャーナリストの方にお集り頂き、盛んな議論が行われました。また、本会では学校法人城西大学のご厚意により会場を無償でご提供頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます。

■プログラム■
1.「がん政策サミット開催のご報告~がん対策の歴史と今後の課題~」
日本医療政策機構 市民医療協議会
乗竹 亮治

2.「がん対策の格差と好事例 ~地方発全国行きの最新情報~」
日本医療政策機構がん政策情報センター長
埴岡 健一

■講演■
1.「がん政策サミット開催のご報告~がん対策の歴史と今後の課題~」
b0144534_17354417.jpg日本医療政策機構 市民医療協議会
乗竹 亮治


日本の患者会を政策提言もできる組織に

日本医療政策機構には今、3つのプロジェクトチームがあります。そのうちの1つが、埴岡と私が担当する「市民医療協議会」と称するチーム。同会は、市民・患者主体の医療を実現するためのプロジェクトチームで、患者会をはじめとする市民医療団体や、患者市民リーダーの活動を尊重し、支援するとともに協働をめざしています。

患者会とは、基本的に同じ疾病を持った方々の集まり。日本には現在、約1,500の患者団体があり、活動の形態から主に3つのタイプに分類できます。1つは、病院等で同じ病気を持った方が自然発生的に集うようになり、同じ病気についての悩みや不安をシェアする癒しの場という位置づけのもので、セルフサポートグループと呼ばれます。2つ目は、情報を得るために組織された患者会。セルフサポートグループで癒された後に、患者さんたちが欲するのは情報です。自分の受けた治療は正しかったのか、他に治療法はなかったのかと疑問に思う方々によって組織されます。3つ目は、得た情報を使って医療政策を変えていこうと活動するタイプの患者会です。根本を変えなければ医療政策は変わらないと感じた方々により組織されます。私たちは、そのような患者会をアドボガシー団体と呼んでいます。

3つの段階それぞれの患者会に貴重な役割がありますが、現在、日本にある約1,500の患者会のうち3段階目の活動をしている団体は少なく、組織も予算規模も小さな状況にあります。一方、海外に目を転じれば、たとえばアメリカがん協会(American Cancer Society)などは、年間予算約1,000億円の規模で活動しています。私は、資料を読んだ当初は数字の打ち間違いかと思いましたが、精読してみると確かに日本円にして1,000億円の予算でした。同団体は、ワシントンに影響を与える大きな団体にまで成長しています。がんのみならず、アメリカ心臓協会(American Heart Association)なども700億円の予算を持っていて、患者会ながら、さまざまなプロフェッショナルと連携しつつ政策提言を発信しています。日本の患者会のニーズを聞き、それに沿った活動を我々がとることで、日本の患者会もこのような大きな団体に成長していただきたい、その過程を支援させていただきたいとの思いが、我々の活動の源となっています。

政策へのアクセスの鍵となるアドボカシー
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さて、私たちは、①患者会運営支援、②意見集約支援、③アドボカシー支援の3つの段階に分けて患者会支援を推進しています。①患者会運営支援は、インフラ支援と言い換えられるでしょう。②意見集約支援は、さまざまな患者会が持っている多くの意見を集約し数値化して、客観的に捉えるお手伝いを指します。そして政策へのアクセスの鍵となるのが、③アドボカシー支援です。
アドボカシー支援の主な活動の柱は、提言活動支援、国際連携支援、政策情報センターの3つ。提言活動支援では、疾病別のシンポジウムへの国会議員や行政担当者の出席を実現し、政策へのアクセスを担保しています。また、政策ワークショップなどを通して、患者グループに政策を動かす力、政策に影響を与える力を持ってもらえるよう援助しています。国際連携支援では、たとえば国際患者会シンポジウムを開催し、海外の患者会と日本の患者会が連携を深めるお手伝いをしています。これまでにアメリカがん協会やアメリカ心臓協会、イギリスの不整脈連合(Arrhythmia Alliance)とのシンポジウムを開催しました。患者会リーダーの海外視察も支援しており、本年8月にはスイス・ジュネーブで開催された国際がん会議(UICC)への、3人の患者会リーダーの参加が実現しました。今回の渡航では、ノーベル医学・生理学賞を受賞したハラルド・ツア・ハウゼン博士(ドイツ)の講演を聴講し、博士と直接話す機会も得られ、日本の患者会関係者が世界レベルの舞台に立つお手伝いができたと考えています。また、がん政策情報センターのウェブサイトは、「市民主体の医療政策を実現」するという当機構のミッションを具現化し、各都道府県の政策データや、好事例などを結集したウェブサイトです。

日本初となるがんサミットを開催

がん政策情報センターの目標は、あまねく広く、日本全国でがんの標準治療が受けられる均てん化の実現。活動の基本構図には、「がんの地域格差」、「全国のベストプラクティス」、「人的ネットワーク」を置き、これらを「3つのトライアングル」と呼んでいます。がんにおいては、死亡率1つをとっても大きな地域格差がある事実を顕在化させ、一方で、地域格差がある中で懸命に活動しているプロジェクト――がん条例の制定やがん募金など――を紹介する。そして、それらを担っている患者会の方々に人的ネットワークを提供する。メーリングリストの整備による情報交換の場の提供や、今回のがん政策サミットの開催などが該当するでしょう。

がん対策サミットは、2008年9月27日、28日に開催しました。全国の都道府県のがん患者委員が集結するという、これまでになかった試みです。当日は、20県から30名の都道府県患者委員が東京に集まったのに加え、国の患者委員も参画し、さまざまなテーマについて有意義な議論が展開されました。各地のがん対策の現状や好事例を互いに紹介し合い、学び合えた意義は大きいと思います。

また、与野党国会議員に参加いただき、自民党の石井みどり氏、公明党の浜四津敏子氏、民主党の仙谷由人氏(ビデオメッセージ)からもお話をいただきました。また、自民党の尾辻秀久氏からは文書によるメッセージが寄せられました。厚生労働省担当者、県庁がん対策担当官の参加もあり、患者のみで語るにとどまらず、患者の声をいかにして行政の各担当部署に届けるのかに関しても積極的な議論をしました。終了間際には、今後の相互協力を確認し合え、同サミットはきわめて成功裏に終わったものと感じています。

患者の声が反映されたがん対策基本法
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今、医療制度改革を推し進める新しい流れが生まれています。これまでは、医療提供者から省庁に要望が行き、さらに政党委員会に渡るのが唯一とも言える行政主導以外の医療政策策定の流れで、3者の関係の深さから「鉄の三角形」とも呼ばれていました。しかし近年、制度改革の流れは、患者参画型にシフトしつつあります。私たちは、この新たな流れは、2つの要因によって生まれたと考えています。1つは、インターネットの普及とも関連した医療情報の大幅な拡大です。患者が病気のことを知るようになり、さらには、治療の制約条件となっている医療政策や、改善策の遅れが存在することにも気づくようになりました。もう1つは、目覚めた患者リーダーの出現です。患者の視点で、自分の生存が危機にさらされているという立場から、具体的な問題点と解決策を訴えました。また、高度成長時代には産業界の意見に耳を傾けた政治家たちも、成熟社会となり社会保障分野が重要となっていることから、そうした問題を重視し反応するようになりました。背景には、疾病の多くを生活習慣病が占めるようになり、医療の質を向上させる主体が医師から患者にシフトしていることもあります。さらには、限られた財源です。近年、国民医療費は約32兆円で横ばい推移をしてきました。同じ枠内の中で予算をみんなが取り合う状況があるわけです。そのような中で誰の意見が優先されるかと言えば、やはり国民一般に最も近い立場にいる患者ではないでしょうか 。

市民患者が声をあげ、それをメディアがキャッチし、メディアに取り上げられた改革を求める声が政治家を動かし、国会で話し合われて省庁が動くという新しい流れは、改革が成される本来のあるべき姿なのだろうと感じます。象徴的な事例は、がん対策基本法でしょう。

ここで、がん対策基本法成立の流れを追ってみます。2001年2月に、患者会の「癌と共に生きる会」が海外で使用できるのに日本では使用できない薬(=未承認薬)に関して声をあげました。すなわち、ドラッグラグを解消しなくてはならない、世界で認められている薬が日本で使えないのはなぜか、と問題提起したのです。2003年6月には、テレビ朝日が『サンデープロジェクト』で「がん治療を変えたい!」という特集を放映。患者会の活動も紹介されて大きな反響を呼びました。この番組を機に、市民患者とメディアの力が合流し、2004年1月、厚生労働省に「抗がん剤併用療法*に関する検討会」が設置されました。検討会に対して、どの薬を認めるかのリストを提出したのは、患者グループ、患者リーダーたちでした。
(併用療法*:承認済み薬を別の効能で使用すること)

一連の動きを受けて、日本医療政策機構においても2004年7月に「患者が求めるがん対策」というタイトルでシンポジウムを開催しました。この時期に「がん難民」という言葉がメディアに登場し、2004年7月に『日経ビジネス』に「年間4万人の命を救え~こんなに差がある病院別の治療成績~」という記事が掲載され、2004年9月には「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」が開催されました。そして、2005年4月は『NHKスペシャル』で「日本のがん医療を問う」が放映されました。これらを受け、翌5月、厚生労働省に「がん対策推進本部」が設置されるといった流れがつくられていったのです。

2005年5月に民主党が市民患者の要望を受けて議員懇談会を設置しました。また、2005年5月には第1回「がん患者大集会」が開催されました。2005年6月、公明党がん対策プロジェクトチームが設置され、翌年4月には同チーム代表が、がん対策法制定の提唱を国会代表質問の中で行いました。その後、2006年3月に民主党が「がん対策基本法案パブリックコメント」を実施。同じく3月に公明党が「がん対策の推進に関する法律(仮称)要綱骨子」を発表し、いよいよ、がん対策基本法の道筋が姿を現します。2006年3月には自民党に「がん対策の与党プロジェクトチーム」が設置され、多くの患者がヒアリングを受けました。2006年4月に民主党が初めてがん対策基本法を衆議院に提出。自民党もがん議連設立総会を開きました。

2006年5月、参議院本会議で民主党の山本孝史議員ががんを告白し、がん対策基本法の成立を訴えた姿はいまだに記憶に新しいところです。そして6月13日に、衆議院において同法が全会一致で可決され、成立へと進んでいきました。

課題は県のがん計画の実施状況チェック

がん対策基本法には目的、基本理念、関係者の責務などが記されています。目的に「我が国のがん対策がこれまでの取組により進展し、成果を収めてきたものの、なお、がんが国民の疾病による死亡の最大の原因となっている等がんが国民の生命及び健康にとって重大な問題となっている現状にかんがみ、」と、これまでのがん対策が必ずしも万全ではなかったことを意味する言葉が入りました。

そして、がん対策推進基本計画は、まさに画期的な計画です。国のがん対策推進基本計画を作成することが厚生労働大臣に命ぜられ、都道府県にもがん対推進計画の策定が義務づけられました。国のがん計画をつくるにあたっては、がん対策推進協議会の設置が義務づけられましたが、協議会の委員にはがん患者とその家族、または遺族の代表者の参加も義務づけられています。これは、政策立案への患者参画、市民参画という意味で非常に大きな一歩です。

その後、がん対策推進協議会メンバーは18名と決まりましたが、うち4名は患者委員でした。有識者委員として参加した2名はどちらも患者もしくは患者家族でしたので、結局18名中6名、つまり3分の1の割合で患者の視点から発言する機会を得たと言えます。がん対策推進協議会メンバー18名には、きわめて患者の声に近い意見が示されているはずです。

国の協議会への患者参画が法制化され、都道府県における協議会への患者参画が常識・必然化した流れを受けて、がん政策サミットは開催されました。2007年中に各都道府県のほとんどががん計画を策定しましたが、現在は、それらが絵に描いた餅になるか否かの瀬戸際。集まった患者委員の方々の心配も、その点に集中していました。

県によって、がん対策予算を多く確保しているところもあればほとんどゼロの県もあります。さらに、がん対策の遅れている県でも予算が少ない場合が見られ、より地域格差が広がるのではとの懸念があります。そのような中で、均てん化をめざすがん政策情報センターの役割が少しでも公益の一助になればと考えている次第です。

今後の私たちの課題として、県のがん計画がしっかりと実施されるかどうかをチェックする機能をつくることが挙げられます。さらにもう1つ、日本医療政策機構の考えというよりむしろ私個人の見解ではありますが、患者会が成してきたこれまでの実績を社会に認識してもらう必要があると考えます。患者の中にはモンスターペイシェントがいるのも事実ですが、一方で政策を動かした患者リーダーたちも存在し、その証の1つとしてがん対策を前進させた実績があることを多くの方々にも広く知っていただきたいと思います。

■続きはこちら
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# by hpij | 2008-11-27 17:39 | 市民医療協議会関連
【緊急提言】第4回:「政策目標・決定過程・医療機関経営の3つの透明化を」
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「医療政策―新政権への緊急提言」の第4回目は、ニューヨーク州ロチェスター大学医学部地域・予防医学科助教授/兪 炳匡(ゆう・へいきょう)氏のご登場です。つい先日、オバマ氏が大統領選挙で圧勝し、共和党から民主党への政権交代が起きたアメリカ。在米の兪氏からは、大統領選直前の10月末にお話しをおうかがいしました。

b0144534_16453033.jpgインタビューは下記のような共通の質問項目に沿って行われています。

<質問項目>
1.医療政策における重要課題、政党がマニフェストに盛り込むべきと考える課題は?
2.課題解決を実現するための財源確保の方法は?
3.課題解決のため、行っている、あるいは行おうとしているアクションはありますか?
4.民間非営利のシンクタンクである日本医療政策機構への期待やアドバイスを。
5.我が国の医療政策に必要な、もっとも重要なキーワードなどを「ひとこと」で示してください。


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まずはじめに、アメリカでの政権交代により、医療政策にはどんな影響があるでしょうか。

医療関連予算が拡大される
現時点では何とも言えないものの(インタビューは現地時間の10月30日に実施)、米国では政権交代に伴い、予算配分の重点項目が大幅に変わる。過去の民主党政権時の予算編成から、オバマ政権下でも、相対的に国防関連予算の比重が小さくなり、医療、教育関連分野の予算比重が大きくなると予想される。オバマ氏の支持者には中・低所得者層が多いことは、オバマ氏が中・低所得者向けの減税を公約に掲げていることからも明らかである。

更にこの層、とりわけ未成年の医療保険加入率を引き上げるため、税制上の優遇策を含めた政策を提案している。しかし、強制加入を伴う国民皆医療保険制度については、支持層の中産階級以上のかなり多くの人がアレルギーを持っている。それ故、そこまで踏み込んだ制度改革にはいたらないのではないか。皆医療保険制度導入を最後に試みたのはビル・クリントン前大統領だが、彼があまりにも見事な失敗をしたので、今後世論が十分な支持を示さない限り、皆医療保険導入のような大きな政治的リスクを取る可能性は低いと推測する。


1.医療政策における重要課題、政党がマニフェストに盛り込むべきと考える課題は?

大きく言えば、3つ。まず、中期政策の数値目標の明確化、残りの2つは、民間「非」営利団体(Non Profit Organization(NPO))の役割を政策評価と医療機関の経営という2つの分野で強化することがあげられる。

中期的な政策目標を数値で具体的に示す
まず、重要なのは中期政策計画の透明化である。あらゆる政策分野全般に言えることだが、医療政策にも3~5年のスパンでの中期的な目標設定があってしかるべきであって、中期的なゴールが示されなければ、その途上において政策の方向性が正しいか否かの評価は困難だ。そればかりか誤っていた場合の方向転換もままならない。

最も分かり易い例としては、「公的な医療費支出を3年から5年の間にここ(X%)まで引き上げる、ないし、主要先進国7カ国(G7)の中で中位を目指す」でもいいし、逆に「5年間でここ(X%)まで引き下げる、G7諸国中の最下位を日本の『指定席』として死守する(笑)」でもいい。とにかく、中期的な医療費の大枠や、目標実現のために途上で達成しておくべき数値目標を具体的に示してほしいと思う。近年、日本の首相が短期間で変わり政権が安定していないので、この課題の提案は、ひとりの首相のもとでの政権が少なくとも3~5年続くという希望的前提の上であるが。

一国の望ましい総医療費の水準に関しては、自著「『改革』のための医療経済学」の中でも書いているが、経済学の現状では、このような価値観の関わる大きな政策上の問題に明確な答えを出すことは不可能であり、今後も期待すべきではない。なぜなら百歩譲って、国民の価値観を正確に測れたとしても、「最適な総医療費レベル」を実証的に示すことは技術的に非常に困難であるからだ。現実的には、政治家が頻回に多くの国民の声に耳を傾け、増減の判断を下すべきだろう。

政策評価分野でのNPOの役割強化
政策決定過程を透明化する一案として、政策を政府以外の民間「非」営利団体(NPO)である大学ないしシンクタンクが、客観的・第三者的に評価する仕組みを制度化するべきである。こうした提案をすると必ず「資金はどうするのか?」と聞かれるが、先例はある。米国のジョンソン大統領は、政策事業費の1%を評価のために強制的に支出するよう義務づけた。こうすれば、追加の財源確保は必要ない。

以前、日本のある官僚の方に事業評価に予算の一部を義務付ける話をしたところ、「既にやっている」とあっさり答えられた。しかし、よく聞いてみると、それは純粋な「第三者」評価ではなく、身内による内部評価であるか、身内の延長のような外部の第三者に委託しているケースが少なくない。このような身内評価では、評価が甘くなることは想像に難くない。こうした現状では、NPOでの政策評価が今後制度として定着する方向に進むのかはなはだ疑問だ。

米国は政策評価をする人材の質が高い一方で、その数が時に多すぎる気もするが(笑)、せめて英国ぐらいは人材を育成していくべきだろう。医療費を増やしても学術的に厳密な評価を行わずに、例外かも知れない個々の失敗したケースのみがマスコミに大きく取り上げられ、漠然とした医療に対する不満が大きくなれば、今度は反動で医療費を大幅に減らそうとなる――このような根拠の乏しい政策転換を避けるためにも、政策転換の過程・根拠を明らかにできるNPOによる第三者評価の制度化は急務と言える。

NPOである医療機関の財源と経営監査を強化
欧米では、大規模な病院や大学病院の多くは民間『非』営利団体(NPO)であり寄附や税制で優遇されている一方で外部監査などの経営に対するガバナンスは非常に厳しい。日本の場合は、法律上は民間病院も含めて非営利団体(NPO)とされているものの、実態は曖昧だ。地域の中核病院は公的な性格・役割が大きいため、NPOとしての経営監査を強化すると同時に、財源も強化すべきと考える。

財源案を2つ挙げると、(i)国に払う税金10万円までをNPO(医療機関)に寄付できるような税額控除の仕組みを制度化すれば、数千億円規模の財源が医療機関や先にも述べた政策評価を行うNPOに集まるとの試算もある。単純な比較はできないが、日本の寄付額は7000億円(2002年)、人口が日本の約半分である英国では2兆円(2004年)、日本の人口の約2倍強の米国で24兆円(2002年)という数字を比較すると、日本において寄付金を更に支援する制度の設立が望ましいと考える。(ii)パーセント法 (注:納税者が所得税のうち1-2%を、自らが選択したNPO・公益機関に提供できる仕組み) が欧州や韓国で始まっている。

これらの財源案に共通しているのは、住民の主体性が求められる点である。自分の支払う税金の使い道を、住民が主体的に医療であれ、何であれ決定することは、納税者にとっての負担と受益の関係を透明化することにも役立つ。地域住民からの寄附を通じた経営参画を促すのも一案だ。医療機関の経営も安定するうえ、住民の関心も高まるだろう。


2.課題解決を実現するための財源確保の方法は?

食品、衣料などの生活必需品を除き消費税を引き上げる
「中期的な政策目標を数値で具体的に示す」、「政策評価分野でのNPOの役割強化」、「NPOである医療機関の財源と経営監査を強化」と3つ挙げた課題の中で、解決に財源を示さなかった1番目の「財源確保の方法」として私が考えるのは、消費税の引き上げだ。ただし、絶対的な前提条件として食品や衣料は対象外にする。私が知る限り、主要な先進国でこれら生活必需品に消費税をかけている国は、極めて少ない。生活必需品と、いわゆる贅沢品が同じ税率だと、結果的には中・低所得の人たちの負担が大きくなるからだ。

生活必需品の消費税を引き下げるかわりに、贅沢品など、それ以外の物品については消費税を上げる、または、所得税率を下げ、中・低所得の人たちの税率はさらに低くした上で消費税を上げる――こうした組み合わせの方法を用いれば、消費税を引き上げても社会全体、とりわけ社会的弱者に与えるダメージが少なくて済むのではないだろうか。少なくとも食品や衣料に10%や20%の消費税をかけようとする案は私には理解に苦しむし、国民の支持も得にくいのではないか。拙著でも述べたように、長期的には総医療費を上げる可能性があるもの、たばこ税の税率は更に引き上げてもいいと思う。

3.このような課題解決のためにご自身が行っている、あるいは行おうとしていることをお聞かせいただけますでしょうか?

書籍、寄稿文、講演を通じた啓発活動
以前、「『改革』のための医療経済学」という本を出版し、大きな反響をいただいた。これからも、書籍、寄稿文、講演などを通じ、医療経済について発信をつづけ、多くの方々を啓発していきたいと考えている。

私が現在米国で主に行っている研究は、パンデミック(大規模な感染)が起こった場合の政府や医療機関等の対応についての経済分析である。政策目標に応じて政府及び医療機関等が取るべき選択肢の優先順位を決められる、経済学的視点を含む数学シミュレーションモデルの作成を行っている。鳥インフルエンザが変異してパンデミックが起こるのは、公衆衛生関係者の間ではもはや時間の問題と言われており、対応策は出現阻止ではなく出現した後の被害をどれだけ小さくできるかに移っている。しかし、その対策の経済学的視点を含むシミュレーション分析についてはまだ本格的に行われていない。パンデミックは一見非日常的なものだと思われがちだが、実は経済や暮らしに大きな影響をもたらす可能性がある問題だ。このような広義の予防医学、医療経済学の研究を通じて医療に貢献していきたい。

ちなみに、私が勤務するロチェスター大学は、感染症・インフルエンザ研究では、世界でもトップレベルの研究者が揃っており、鳥インフルエンザのワクチンを世界で最初に開発した研究グループ、ワクチンの開発を分子レベルの数学シミュレーションモデルに基づいて行う研究グループ、パンデミックの出現をモニターする研究グループ、ワクチンをいかに医療機関を通じて効果的に提供するかを研究するグループ等が、1件あたり少なくとも数千万円の単位から10億円単位の研究助成金を獲得している。米国は、日本と比較すると研究助成金の機会も額も桁外れに大きい。


4.日本医療政策機構への期待やアドバイスを。

超党派の立場で政策インフラ整備に寄与を
日本医療政策機構のウェブサイトでは、各政党の医療政策責任者の方にインタビューをした記事を掲載しているが、さらに踏み込んだコンテンツも企画してはいかがだろうか。

例えば、各党のマニフェストを並べ、何かの指標を設けて、順位付けをした結果を公開するのも一案だ。厚労省の政策の一部でも、科学的根拠の確かさでランキングして公開すれば、かなりの反響があるはずだ。医療政策への関心が高まるだろう。各政党や厚労省がランキングを気にするようになれば、政策改善を促す機能を果たすことにもなろう。これらは一例だが、今後も超党派の立場だからこそできるインパクトのある活動を期待したい。

5.我が国の医療政策に必要な、もっとも重要なキーワードなどを「ひとこと」で示してください。
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「透明化」
質問1の「医療政策における3つの重要課題」を統括すると、「透明化」というひとつのキーワードでまとめられる。私の提案が目指しているのは中期的な政策目標の透明化、NPOの役割強化を通じた政策決定過程の透明化、医療機関の財源と経営の透明化、住民にとっての負担と受益の透明化である。

日本では今、総選挙が近いと言われているが、各政党が中期的医療政策の目標を明らかにしてくれれば、投票する際に大いに参考になるだろう。そして政府には、政策が何を根拠に、どういう過程を経て決定されたか、国民に対して説明する責任、アカウンタビリティがある。この際の説明「資料」の一部を政府外部のNPO(大学、シンクタンク)で作成するよう制度化すべきである。また、日本では、医者が儲けすぎだという批判が根強いが、医療機関の経営を透明化すれば、このような根拠の曖昧な批判も減るのではないか。

■略歴■
兪 炳匡
1967年大阪府に生まれる。1993年北海道大学医学部卒業。1993~95年国立大阪病院で臨床研修。1997年ハーバード大学にて修士号(医療政策・管理学)取得。2002年ジョンズ・ホプキンス大学にて博士号(PhD、医療経済学)取得。2002~04年スタンフォード大学医療政策センター研究員として高齢者介護制度の国際比較研究に従事(2004年以降非常勤研究員)。2004~06年米国厚生省疾病・管理予防センター(CDC)エコノミストとして遺伝子スクリーニングを含めた予防医療の経済評価に従事。現在はニューヨーク州ロチェスター大学医学部地域・予防医学科助教授として、医療経済学の研究(特にインフルエンザ予防接種の経済評価)・教育に従事。関心領域は、高齢化が医療制度に与える影響の国際比較、予防医療(特に予防接種・スクリーニング)の経済評価(本略歴は「『改革』のための医療経済学」に掲載されていたものです)

■関連記事■
兪 炳匡 著「医療白書2007年度版 第1部(2):医療経済学は医療資源配分の改善などで医療改革に貢献できる」
第8回日本医療政策機構 定例朝食会 兪先生ご講演「『改革』のための医療経済学」

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「緊急提言」シリーズはあらゆる分野の方々に幅広いご意見を伺うこととしております。当シリーズでインタビューにお答え頂いた方のご意見は、必ずしも当機構の見解を代表するものではございません。
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# by hpij | 2008-11-19 16:35 | 新政権への緊急提言
【緊急提言】第3回:「医療費の総額抑制見直し、安心と安全の医療を」
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日本の医療政策のキーパーソンに聞く「医療政策―新政権への緊急提言」。第3回は全国社会保険協会連合会理事長で、元厚生労働省医政局長の伊藤雅治氏にお伺いしました。



b0144534_17521019.jpgインタビューは、下記共通質問項目に沿って行われています。

<質問項目>
1.医療政策における重要課題、政党がマニフェストに盛り込むべきと考える課題は?
2.課題解決を実現するための財源確保の方法は?
3.課題解決のため、課題解決のためにご自身が行っている、あるいは行おうとしていることをお聞かせください。
4.日本医療政策機構への期待やアドバイスを。
5.我が国の医療政策に必要な、もっとも重要なキーワードなどを「ひとこと」で示してください。


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1.医療政策における重要課題、政党がマニフェストに盛り込むべきと考える課題は?

医療費総額抑制政策見直し
現在、医療の現場でさまざまな問題が起こっているのは紛れもない事実である。しかし、起きた問題の表層のみに目を奪われ各論ばかりに終始していては、根本的な問題解決にはおぼつかない。現状は、残念ながら、基本問題、根本問題は何かを問うことなく、明るみに出た問題をモグラ叩きのように次々に叩くことばかりに力が注がれ、医療問題への対処方針は「各論地獄」に陥っていると感じる。

大きな視点で見れば、さまざまな問題の多くが、小泉内閣以降の医療費総額抑制政策に端を発している。したがって、そこにこそ、問題解決に至る鍵があると思う。

次期総選挙で政権担当をめざす政党には、まず、医療費総額抑制政策の見直しを最重要課題と捉えてもらいたい。

医療提供体制の再構築
医療費総額抑制政策の見直しを前提に、各論としての医療体制の議論をすべきことは述べた。その際に大切なのは、医療体制には、「医療提供体制」と支払い制度を含めた「医療保険制度」の2つの柱があるとの認識を持つこと。医療提供体制と医療保険のそれぞれの課題の整理がなされたうえで、私は、直近の課題として、まず医療提供体制の再構築への各論的取り組みに期待したい。

医療提供体制においては今、医療機関機能集約化の停滞と、医師や看護師の人材不足が深刻となっている。両者の問題は密接に関係する部分があり、医療機関の集約化を進めれば、ある程度は拠点病院に余裕を持った人員配置が可能になるはず。拠点病院の機能充実も図れるであろう。

患者、市民が参加し議論(政策と財源をセットで議論する)
医療費総額抑制政策の見直しも、医療提供体制再構築も、それに必要な財源確保の具体策なしでは机上の空論である。

財源の問題とはつまり、負担の問題である。したがって、負担者である患者、市民が議論に加わるべきなのは自明と思う。

社会保障に関しては、社会保障国民会議が創設され、社会保障政策に関していくつかの選択肢が示されたが、医療ついては医療政策の基本的枠組みについて患者・市民代表も参画して議論する場がない。今のところ医療は、たとえば社会保障審議会の医療部会、医療保険部会、中医協で議論されている。これでは、負担と給付の関係を総合的に議論し、必要な負担増を国民に選択肢を示していく議論になりにくい。議論の場は、厚生労働大臣の下に「医療政策基本審議会」のようなものを設置するのがふさわしいだろう。

「医療基本法」の成立を
包括的な議論をするうえでのポイントは、具体的選択肢を示すことだ。そして、その選択肢は、十分に練られたものでなければならない。先ほども触れたが、先日の社会保障国民会議の提言のように、具体的な選択肢をいくつか提示した上で選択を迫るようなスタイルは非常に参考になると思う。

だが、具体的選択肢を示して提言するには、多様なステークホルダーが関係する医療政策の政策決定プロセスに医療提供者や支払い側に加えて患者・市民の参画を法律的に担保する医療基本法が必要だと思う。国民生活に必要な分野で市場原理のみに任せられないという点では医療と教育が代表的な分野だが、教育基本法があるように、わが国の医療政策の基本を規定する「医療基本法」の成立がもっとも重要な医療の課題だと考える。

2.課題解決を実現するための財源確保の方法は?

保険料の引き上げを
財源確保の基本は保険料の引き上げと思う。もちろん、保険料が払えない低所得層への対策をきちんと考慮するのが前提だ。日本の税制度は所得税を中心に据えた応能制度になっているが、医療に関しては窓口負担は応益制度に、そして保険料負担については応能的になっている。その基本を変える必要はないと思う。

イギリスのような国営医療への転換を推進するひともいるようだが、日本の場合、歴史的経緯を踏まえて考えれば、負担と給付の関係が明確になる社会保険制度のほうが受け入れやすい。したがって、まずは安心と安全の医療提供体制の選択肢を示して保険料率の引き上げをお願いするしかない。そのうえで、保険料でまかなえない部分に対して税を投入するという方式が現実的だと思う。

投入すべき税財源は、所得税であっても、消費税であってもかまわない。たばこ税増税は喫煙率低減に効果があることは海外でも実証されており、国民の健康には大いに寄与するはずだ。たばこ税の増加分が何に使われるかは明言されていないが、医療費にまわせば、税率アップに対する国民の理解も得やすいに違いない。

3.課題解決のため、行っている、あるいは行おうとしているアクションはありますか?

医療者が国民に問いかける動きを喚起する
行政担当者や政治家が「医療のために負担をお願いしたいのだが――」と問いかけをしても、いったいどれほどの国民が聞き入れてくれるのか。私は、そこに疑問を持ち始めている。国民が役所や政治家に向ける目の厳しさ、不信感が、問題解決の前進を妨げていると思う。

私は今、国民に医療問題を投げかけるべきなのは、行政や議員ではなく医療者自身ではないかと思っている。医療現場の問題を、医療者が自らの責任として明らかにし、問題解決のために必要な負担を医療者の願いとして発言し、訴え、理解を求める。それが本来あるべき姿なのではないかと思うのだ。

私が学会長を務める第7回日本医療経営学会(11月29日開催)においても、このテーマを扱う。医療危機が叫ばれる中で、医療提供者は何をすべきか、参加者に問題提起をするつもりだ。また「医療提供者と市民が一体となった医療問題への取り組みを」テーマに、患者代表、メディア代表、政策立案側の代表と医療提供者の、4つのステークホルダーの方々に参加いただいてシンポジウムを開き大いに議論、情報交換をする予定だ。

また、東大の医療政策人材養成講座(HSP)での共同研究をきっかけに、患者団体とともに「患者の声を医療政策に反映させるあり方協議会」を発足させた。そこでは、医療基本法成立をめざした活動もスタートした。自民、公明、民主の3党から議員に出席いただき、勉強会を計画しているところだ。

4.日本医療政策機構への期待やアドバイスを。

具体的取り組みへのアイデアの供給を
私は、日本医療政策機構のような機能を持つシンクタンクを各政党が持つべきと思う。医療政策に関しては、何をすべきかは見えているが、具体化するための方法論のアイデアが出てこないという現状だ。政党がシンクタンクを持っておらず、すべきことを現実化する術を見出せないでいる現状を踏まえれば、日本医療政策機構をはじめとする中立的なシンクタンクからのアイデアに大いに期待したい。

また、冒頭に触れた「各論地獄」から抜け出すためにも、私は、国の医療政策の基本を定める「医療基本法」のような法律の制定が不可欠と考えているが、その制定の中心的な役割を担い、基本法の必要性啓発や、法案の具体的な内容の詰めについても、日本医療政策機構に期待している。

5.我が国の医療政策に必要な、もっとも重要なキーワードなどを「ひとこと」で示してください。
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「医療費の総額抑制政策を転換し、安心と安全の医療を確立」
振り返れば日本国民は、昭和30年代に国民皆保険制度ができて以降、医療へのアクセスについてはきわめて恵まれた環境ですごしてきた。しかも、幸運にも右肩上がりの経済成長と医療技術の進歩の歩調が重なっていたので、負担に関しても厳しい体験をしてこなかった。結果、国民にとって恵まれた環境が「当然」になってしまったことも、現在ある医療問題を引き起こした一因かと思う。

しかし現在は、高齢化社会が進み、経済も不安定になり、医療を財源問題抜きに語れなくなったという時代認識を、国民が共有しなければ、医療はもう立ちゆかない。もちろん、その共通認識のもとに議論にも加わっていただきたい。

行政担当者が、政治家が、医療者が、危機感を持って国民に医療の実態、そして課題解決の方法を訴えかけ、問いかけ、ともに考えるべきときがきているのだと思う。

■略歴■
昭和43年新潟大学医学部卒業、保健所勤務を経て、昭和46年厚生省入省。大臣官房審議官、保健医療局長、健康政策局長、厚生労働省医政局長を経て、平成13年退官。平成13年全国社会保険協会副理事長、平成15年より理事長。骨髄移植推進財団副理事長、日本医療機能評価機構副理事長を兼務。

■関連記事■
伊藤雅治 著「医療白書2007年度版 第1部(4):セルフマネジメント力を基本に医療者との協働体制を構築」
第12回日本医療政策機構 定例朝食会 伊藤先生ご講演「医療制度改革と社会保険病院の経営改革」

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# by hpij | 2008-11-18 18:08 | 新政権への緊急提言