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解散・総選挙目前!医療政策の行方はいかに。
いよいよ間近に迫った総選挙。与野党が政権をかけて激突する天下分け目の戦いは、医療政策にどのような影響を与えるのか。当機構の小野崎が答える。

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小野崎 耕平
(日本医療政策機構/ハーバード大学アジアセンター)

――福田総理辞任、そして麻生内閣誕生の医療政策への影響は?

 福田総理が立ち上げた社会保障国民会議の最終報告の内容には、大きな注目が集まっていました。しかし、総理の辞任、解散・総選挙といった流れで道半ば。少し残念ですね。一方で、舛添厚労相が留任したことで厚労省改革や医療と介護のビジョン会議などは引きつづき進むでしょう。

――福田内閣の医療政策を振り返っての感想は?

 賛否両論あるものの、医師増など医療資源投入増に向けて大きく舵を切ったことで日本の医療政策に大きな転機をもたらしたのは事実です。もちろん、長きにわたって地道な活動をつづけた医療関係者、与野党の壁を越えて超党派議連に集まった国会議員、政府関係者、メディア、そして市民や患者など、すべてのステークホルダーの力があってこそもたらされた転機なのは言うまでもありません。

――解散、総選挙がこの時期になったタイミングについて。

 経済が急速に悪化している中、まずは景気対策が優先されるでしょう。消費税増税も先送りされる見通しです。世論は緊急経済対策などを求めていますから、医療財源論の側面ではネガティブに働くかもしれません。
 ただ、問題が噴出している医療政策分野の議論が、各党の政権公約(マニフェスト)などを通じて活発化するのは明らか。この政権選択選挙は、国民が自らの頭で考えて、自らの選択で、政党なり候補者を選ぶ、政権・政策選択の大きなチャンスです。

――新政権で、何が変わる?

 これは選挙結果を見なくては、なんとも言えません。ただし、医療政策に関しては財源論と政策の優先順位を除くと基本的な方向性に政党間で際立った大きな違いはありません。我々が行った各党厚生労働分野トップへのインタビューでも「医師不足対策」、「社会保障費削減は限界」など、どの政党も重点分野はほぼ重なっています。後期高齢者医療制度への対応は異なっていましたが、麻生総理は見直しを明言しています。
したがって、選挙後の新政権では医療資源投入増の方向は踏襲され、焦点はそれらの政策実現のための財源論になるのではないでしょうか。消費税増税も視野に入れた次の大きな税制改正までは、無駄な支出の削減はもちろんですが、たばこ税は非常に有力な選択肢になるでしょう。

――提言をするとしたら?

 医療のあり方や体系をかたちづくる基本法となる「医療基本法」の制定も喫緊の課題だと思います。そして私がもっとも変えるべきと感じているのは、医療政策の決定プロセス。政府の政策を与党が追認するだけでは絶対にいけない。当機構が行ってきた世論調査でも「医療政策は市民・患者主体で決められるべき」という結果が明らかになっています。政策決定プロセスに市民や患者などあらゆるステークホルダーを参画させて、国民主体のプロセスに抜本的に変えることが必要です。
 後期高齢者の混乱は制度設計だけではなく、政策の実行プロセスで大きくつまずきました。あの二の舞になってはいけない。はじめから、是々非々でオープンに議論をすべき。そのためにも日本医療政策機構は政策の選択肢をきちんと提示していきたいと思います。
 
by hpij | 2008-10-16 13:59 | 医療政策関連
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